主にライブハウスのスケジュールを組み立てることで生計をおっ立てている人の日記

吉村 学通称ダッシー/昭和56年2月16日生まれ水瓶座O型/Chiba Fes企画室代表/ライブハウス千葉ANGAブッキングマネージャーの日記

クラウドファンディング日記

 

準備:

失敗すると分かっていて踏み出す人はなかなかいないでしょう。元来楽天的なわたくしは挑戦が好きです。ただしギャンブルは向いていません。クラウドファンディングを手がけている団体がいくつかあるのですが、それぞれ仕組みに微妙な違いがあります。ひとつ重要な違いは、期間内に目標金額に到達できなくてもそこまでで集まったお金はいただける方式 (All in)と、到達しなければ支援者に返金となり一切もらえない方式 (All or Nothing)。僕はまず予算を組み、調達目標金額を決めます。リターンをいくつか考えます。そして(All or Nothing)を選びました。53万円か0円か、です。理由は覚悟が決まっている方がかっこいいので支持が集まり易いと思ったからです。あとわたしが「ある程度もらえるならそれでいいや」と途中できっとダレてしまうからです。つまり(All or Nothing)の方が自分にとっては有利に運ぶと信じたわけです。

 

 

 

申請:

フォーマットに沿ってウェブ上で各種書類を作成、思いの丈をぶつける渾身の文章をひねり出し提出するも事務的書類やリターンの方に繰り返しダメが入りなかなか受理されず刻一刻と開催の時が迫ってきます。他の方はクラウドファンディングの支援募集日数を2~3ヶ月くらい設けているようですが、わたしの企画が受理された時に残されていた支援募集日数は12日でした。

 

 

 

公開:

いよいよ公開となり早速各種SNSで告知を開始しましたが、初日においてすでにクラウドファンディング界ではラストスパートと呼ばれる時期に突入しています。開始の瞬間にラストスパート。マラソンを全力疾走せよ、と言われている気分になり大変危険です。あと今更付け加えますが、あえて言うとフェスの開催はわたしの趣味であり、当然仕事とは別に時間を作って取り組んでいます。仕事場で理解を得られていることと職場の暇が以前よりたくさんある、という幸い及び不幸状態により時間は確保しやすいです。とはいえ事前告知が十分ではありませんでした。

 

 

 

初日:戦慄が走ります。クラウドファンディングの傾向として支援募集初期段階の勢いが大変重要であり、最終的な結果達成を占うものであるとのことですが、こちとら募集初期段階が最終段階。ロケットスタートをキメなければかなり分が悪いというのに。

(支援計2件)

 

 

 

2日目:

人生を振り返り始めます。野外フェスを運営する事に関して自分の力量不足が凄く気になりだします。リターンはこれでよかったのだろうか、支持を得るためには必須といわれる個別の連絡を、送る内容に思い悩み深夜に職場内をひとりでグルグルと徘徊しながら少しずつ取っていきます。

 

(支援計5件)

 

 

 

3日目:

個別に支援をお願いした方々に過剰な期待を持ち始めます。そうやって心を楽にしようとする逃避的心理だったのかもしれません。割と丸一日を無為に過ごしました。

(支援計7件)

 

 

 

4日目:

昨日を無為に過ごしたことで精神的にダメージを受けます。すでに頂いていた暖かい支援コメントに返信を開始しました。振り返ると明らかに返信が遅いのですが、この時やっと自然に返信できる機運が自分の中で高まったという説明で人に通じるのでしょうか。自分が思っていたより広い範囲からの支援とコメントを頂いていることに気づき、喜びと新たな勇気をもらいました。またリターンに気軽な500円の支援コース新設を申請しました。

(支援計10件)

 

 

 

5日目:

良い知らせと悪い知らせあり。直接お会いしたかたに支援確約と言って差し支えないお言葉をいただきました。一方、本クラウドファンディングの締め切りは、世間でいうところの「給料日直前」というやつだと気づき頭がグラグラしました。振り返る余裕がなかったのか、開始以来初めての支援増なし日だったと気づいていませんでした。

(支援計10件)

 

 

 

6日目:

折り返し地点です。折る必要がない短さですが。最初から絶望的またしても少々現実逃避が発生しました。

(支援計11件)

 

 

 

7日目と8日目:

仕事に忙殺は大げさですが明確な進捗はありませんでした。しかし支援コメントに励まされ続けます。500円の支援コースを導入できたものの、反響は少ないようです。何かがフィットしていない。

(支援計15件)

 

 

 

9日目:

なう。着実に支援は伸びているとの指摘あり。実際に数字も伸びています。現在目標金額まで44%。振り込み処理が間に合わず反映されいないものの、入る見込みの支援も合わせると約半分まできていました。いろいろと一喜一憂してきましたが、改めて驚いています。感謝と勇気が湧き、支援を募るためのあらゆる計画の実行に弾みがつきました。この日記もそのひとつです。支援募集締め切りは22日。残り4日。

(支援計17件)

 

 

 

というわけで千葉中央公園での野外フェス「ちばアートフェス2020」開催の10月24日と25日までいよいよあと1週間を切りました。https://chiba-art-fes.net/

 

 

イベントの準備というものは万全と思いきや穴があるもので、ましてや十分な時間を取れずにバタバタしていると気持ちがそわそわしてしかたないものです。タスクを並べて、当日の様子を想像し見落としを探す。今回は3度目ということで、それなりの経験値があるものの、感染症対策、そしてクラウドファンディングに挑戦と2大困難を抱えての舵取りであります。

 

 

そもそもクラウドファンディングとは何か。

 

 クラウドファンディングcrowdfunding)とは群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、インターネットを通して自分の活動や夢を発信することで、想いに共感した人や活動を応援したいと思ってくれる人から資金を募るしくみです。

https://readyfor.jp/crowdfunding/

 

 

 

千葉の文化的な独立というオルタネイティブな経済圏を夢見て始めた当フェス、この世を憂う真面目なバカだった大学生時代の自分の思考と根っこで繋がっているという話はまた今度にするとして、地元のカルチャーを地元が盛り上げて楽しむ、その動きを自分の行動範囲から巻き起こしたい、ネットだけではなく実際に顔が見える距離感覚の中で、そんな活動に共感が欲しかったのです。クラウドファンディングを通すことで、僕が今まで直接関わっていなかった個々人の気持ちを可視化し、味方につけることができる。危険を犯してでも事を成すのではなく、安全と集団による高揚を両立できるということを共有し、その和を広げていきたい。毎回の赤字を覆すには企業スポンサーをつけることが、このような人を集める催し物を実行する上では大変有効なのですが、これは共感以上に宣伝やイメージアップという色合いが強い。僕はひとりひとりを巻き込みたいのです。

 

 

見返りはクラウドファンディングの中ではリターンと呼ばれ、支援の額に応じていくつかのリターンを用意します。新しい製品を生み出すためのクラウドファンディングならばそれ自体がリターンとなり得ますが、音楽イベントとなると何かリターンとなる物を生み出すためには本来資本を投下すべきところとは別の何かに費やさなければいけません。なのでだいたいそのリターンは、頂いた金額に見合う物質的価値あるものの提供が難しいのですが、逆にいえばそれでも敢えて支援してくださる方々の共感の純度は高いとも言えます。

 

 

もしもご支援してくださる場合はこちらまで。

https://readyfor.jp/projects/independence-chiba